あっちーね室内楽団 第17回【夜公演】
"せんぷれ・あっちーね Vol.12"
ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ2番という、ジャズとクラシック音楽が混ざり合うところに生まれた曲をお届けした前回に引き続き、今回もジャズとクラシックの見事な融合の例をお届けしようと思っています。
その曲とは、情報統制下のソビエト連邦・ウクライナで、政府の目を逃れながらジャズに傾倒してしまった作曲家・カプースチンのヴァイオリン・ソナタです。作曲は1992年と近年のものですが、彼のソビエト時代の仕事の集大成とも言える作品に仕上がっています。カプースチンは2000年代に西側世界に見出されましたが、その後彼の人気はどんどんと拡大していっており、演奏機会は近年ますます増えていると言えるでしょう。
ほか2曲は、またまたフランスの作曲家から、ラヴェルとドビュッシーの曲を披露します。これらは、1975年や1986年という近年になって発見・再構成・出版された曲です。若かりし頃の2人の作曲家のフレッシュさとその後の曲につながる原風景が眺められる、という点で非常におもしろさと危うさがある曲たちだと感じます。
ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ(遺作)は、彼が20歳の頃に作曲されました。その後の曲にもつながる特徴的なメロディや和声と、それまでの作曲家に倣ったかに見える部分とが入り混じったように聞こえ、それがその後のラヴェルには見られない新たな魅力とも思える曲になっています。
ドビュッシーのピアノ三重奏曲も、ドビュッシーが18歳のときに作曲されました。この曲の楽譜は長い間失われていましたが、1980年代にミシガン大学の図書館に寄贈された、ピアニストの遺品の中から大部の楽譜が見つかり、未発見部分の再構成をあわせて出版されました。その後もさまざまな再構成がなされましたが、わたしたちはその中からもっとも魅力的だと考えられる再構成を採用し、演奏します。
今回は、近年その魅力が再発掘された曲たちを集めて演奏し、西洋音楽史が「新しく」体験した音楽の魅力をご案内します。みなさんのご来場を心よりお待ち申し上げております。